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日常靴飯 「剣道と靴作り」

野島です。

 

剣道をやっていると欲が出てくる。打ちたい、打たれたくない、勝ちたい、負けたくない、俺の方が強い、負けるはずがない、俺の方が構えが美しいはず、面が入った、なんで今のが入ってないんだなどなど。
全身を覆いながら胸の奥と頭の後ろあたりから立ち昇る湯気のような炎のようなイメージ。
若い頃はこれが剥き出しで、それを隠すどころか抑えようともせず、明確な目標もなくただ欲の向くまま動いていた。

バガボンドという作品でいくつも名言と言えるセリフがあるのですが、その中の「誰かと対峙した時、それぞれが心を揺らすことなく真ん中であれたら、戦いは起こらない。戦う必要がない。」「分かれ道はいつも心の内にあるわな。真ん中が一番いい。」

この真ん中という感覚。集中している時、全体を意識せずにとらえている時、剣道で出頭を打った時や相手の居ついたところを打ちこめた時に後から、または動き出しの瞬間に気付くことがあります。しかし、頭でその感覚に気付いた時にはもうそれを意識してしまって真ん中にない。

「天下無双とはただの言葉じゃ。」「いかにさやから抜かずにおくかそのために、我々は死に物狂いで剣を振っとるのだ。」

作者の井上雄彦さんが柳生石舟斎やその師匠にこの台詞を言わせることにどれほど自身を見つめ、奥まで覗き込み、追い込んだか。ものづくりに携わるものとしてわかるようになってきた。
剣道とは剣の理法の修練による人間形成の道である。
小学生の時に聞き、今でも心に残っている。当時はその言葉の意味をとらえずただただ重さだけが頭に残った思い出がありますが、これからの人生はこのことを常に意識しながら仕事、稽古、生活全てをやっていきたいと、15年振りに剣道に復帰して思えるようになりました。
取材の時などに、剣道と靴作りがどこか似ていると話すことがあるのですが、それがこれです。

さて今日も製作がんばります!

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